[cinema] 『BAUS 映画から船出した映画館』
2025年05月07日 05:45更新
2014年に惜しまれつつ閉館した吉祥寺バウスシアター。大正時代に寄席や演劇、歌舞音曲、そして無声映画もかける演芸場、井の頭会館に始まり、世界恐慌、太平洋戦争、高度成長期と吉祥寺の文化を見守り続けてきた映画館を家族の歴史とともに描いた素敵な作品でした。ロケ地として上田映劇が使われていましたが、スクリーンの前に舞台があったり、二階席があったり、という風景が井の頭会館のありし日の姿にピッタリとはまっていました。

上演の後に甫木元空監督による舞台挨拶もありました。上田映劇の観客席が撮影場所であると同時にスタッフ、出演者の控え室になった話や、信大の講堂や上田映劇のロケ場所を実際にみる中で映画のカットが膨らんだ話を興味深く伺いました。映画館の毎日の営業終了後に、従業員が大家族のように映画館で一緒に夕食をとっていたエピソードは実話をもとにしているそうです。映画館が娯楽の中心として華やかなりし日の姿に思いを馳せました。